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●中学時代(まで)プロレスラーを志していたわたしが得意技としたかった「アイアンクロウ」とフリッツ・フォン・エリックの魅惑的試合展開。 [「言葉」による革命]

●中学時代(まで)プロレスラーを志していたわたしが得意技としたかった「アイアンクロウ」とフリッツ・フォン・エリックの魅惑的試合展開。

末尾ルコ「プロレスの話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

わたしが中学時代、「エルボー攻撃」と並んで得意技にしたかったのが、「クロウ攻撃」である。
「クロウ攻撃」とは何ぞや。
片手の五本の指で相手の身体の各部を締め上げるだけである。
何とシンプルな、シンプル過ぎる「技」であるが、わたしが子どもの頃、この「クロウ攻撃」という「技」に限りないロマンを感じていたのだ。
その中心にはもちろんフリッツ・フォン・エリックがいた。
しかしわたしがプロレスファンになった時期には、エリックはとうに最盛期を過ぎており、試合をやる姿はリアルタイムではほとんど観ておらず、ではどうしてエリックに憧れたかと言えば、プロレス雑誌に掲載されていた写真と既に醸成され切っていたイメージによる。
フリッツ・フォン・エリックも元来ナチス・ギミックのレスラーなのだが、その他のナチス・ギミックたちのような安っぽさはまったくなくて、真っ先にイメージするのはもちろん伝家の宝刀アイアンクロウ、そしてタフそのものの肉体と、男っぽい風貌である。
何よりもドラマティックである。
特にプロレス雑誌に載ったモノクロ写真。
フリッツ・フォン・エリックの、人間の頭部全体を包み込みそうなほど大きくて骨太の手指が相手のこめかみにがっしりと喰い込んでいる。
エリックの指の間からは、(モノクロなので)黒い血が太い流れを作っている。
相手レスラーの表情はエリックの掌に包み込まれているからとても読みにくいが、辛うじて観客からも見える歪んだ口がとてつもない苦痛を表現している。
(このままでは相手レスラーは身体全体の力を失い、戦意も失ってしまい、失神してしまうだろう。何と恐るべき、何とカッコいい武器なのだ、アイアンクロウという技は・・・)
とまあ、このようなイメージが膨らむのも、アイアンクロウが極めてプロレス的文脈の中で対戦相手との協力によって成り立っていた必殺技だったからなのだが、それにしてもフリッツ・フォン・エリックの場合は、あたかも犯罪映画の中の協力にして魅力的な悪役のような迫力を伴っていたからこその説得力だった。
現在YouTubeなどでかつてこれほどまでに憧れたフリッツ・フォン・エリックの、しかも最盛期の試合を視聴できるのだが、やはり十分過ぎるほどおもしろく、魅力にあふれている。
エリックの試合展開の中で好きなのは、どんなに自分が不利な局面に立たされても、あのでかい掌で相手の顔面、腹部などをつかんだ途端に一気に形勢が逆転するという、それは鮮やかな「暗から明への反転」なのである。
そんな試合、やってみたかったなあ~~(←壊れた大人としてのわたし)

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いっぷく

プロレス雑誌に載ったモノクロ写真というのは、エリックが、ボブ・エリスを掴んでいる写真ではないでしょうか。あの写真は流血もさることながら、掴んでいる手の上に見えるエリスのギザギサの額もショッキングでした。ギザギザ額を見たのは、ボブ・エリスが初めてですね。
タイガーマスクは、流血しても伊達直人の額はギザギサにならないですよね。そこで私も子供の頃は、流血しても、赤チン塗って傷もなおるんだと思っていたのですが、ギザギサ額を見て、ああこの人たちは額にこんなに傷を残す戦いをしているのかと思ったわけです。
エリックが馬場と名古屋で戦った時は、沖識名が下手くそで、こめかみというより頬まで切ってしまって、馬場の流血がいかにもカミソリで来られたような切り方で、そうするとさり気なく大木金太郎が出てきて、さっと血を拭いてごまかしたのですが(傷自体は浅くて血はすぐに止まったようです)アジアヘビー級チャンピオンだった大木金太郎が、サムソン・クツワダがすべき仕事をするのは、会社や馬場のためというよりも、セコンドについて自分も目立とうとしている野心がありありで、それはそれで興味深いシーンだと思いました。

日本では、小島聡と天山広吉が巻いた、NWA世界ヘビー級チャンピオンのベルトが、ロブ・コンウェイが出品者でオークションに出ていると話題になっています。その流れでNWA殿堂なるものの殿堂入りレスラーを見たのですが、元NWA会長のエリックの名前がありません。その一方で、NWAに加盟したこともない力道山や、どインディになってから短期間ベルトを巻いた橋本真也が殿堂入りしており、まあ、WWEの殿堂もそうですが、推薦者も基準もいい加減なんでしょうね。

猪木の人と違うところは、処世術上の保身はいくらでもあるのですが、行動それ自体についてはどこまでも大胆になれることです。
たとえば、シンとの戦いで、コブラクローの威力を表現するために、いわゆる「ジュース」を首を切って出せといって、ミスター高橋がさすがに慌てたこともそうですし、アリと闘うことも大変なリスクがあったわけですし、そういう意味では、何しに行くのかわかりませんが、こういう時期に北朝鮮に行って何かやってきたいと思うと、国や国民に対する迷惑も、身の危険も考えられないんでしょうね。
by いっぷく (2017-09-07 01:14) 

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