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開きたくない小枝子からの手紙 1 [小さな小説集 正気と狂気の間]

聡子はあまり手紙の封を開けたくなかった。
小枝子からの手紙だ。
大学を卒業してからもう30年。
1年に1度も小枝子とは会うことがない。
けれど思い出したように、急に「お茶飲まない」という電話がかかってくることがある。
「ちょっと忙しいので」と断ると、必ず1週間以内に手紙をよこす。
しかもかなり長文の手紙だ。
内容は読まなくても見当がつく。
見当はつくけれど、読めば必ず1週間以上不快な気分が続く。
聡子はリビングのテーブルに手紙を置き、しばらく眺めた。
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