SSブログ

宮本武蔵に対する厳然たる視点   「宮本武蔵『五論書』の哲学」前田英樹 岩波書店 [ルコ的読書]

「宮本武蔵『五論書』の哲学」(前田英樹著 岩波書店)は宮本武蔵を描いた本としては非常にユニークで読み応えがあり、それだけに難物でもあると言った内容となっている。
著者の前田英樹は立教大学教授(2003年時点)。フランス文学・思想を専攻していて、「新陰流・武術探究会」主宰者でもある。
「宮本武蔵『五論書』の哲学」はかなり深く多岐にわたる内容で、ここで網羅的に紹介することは不可能だ。
だからわたしなりの視点で特に注目をひかれた箇所を素材としてわたしなりに展開させてみたい。その意味で、「展開」が著者の思想的と一致するかどうかはまた別の話となる。
まずは次の部分を読んでいただきたい。


いわゆる合理的であることなどは、戦国時代を生き抜いた兵法者にとっては論の手前です。誰もが、勝負の馬鹿げた運で死にたくはない。では、どうするのか、何を知り、何に熟達することが、この偶然の底なしの闇に勝つことなのか。武蔵は戦国武将が強いられたこの激烈な課題を、戦国期が収束した時代において、まさにひとつの思想問題として決着させようとした人間だとも言える。

「宮本武蔵『五論書』の哲学」前田英樹 岩波書店

nice!(30)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 30

コメント 2

yasu

ご無沙汰しています。

五輪書は、かなり昔に読んだことがあります。
戦国時代に書かれたものなので、今の感覚ではよく理解できないこともありましたが、思想というよりはかなり実践的な内容だったように記憶しています。この本は、思想的な考察にもページを割いているのでしょうか。

以上
by yasu (2010-07-24 20:14) 

末尾ルコ(アルベール)

yasu様

ご無沙汰しております。
そうですね。
多少表現が難し武分がありますが、実践的な内容を思想的に思索しているとでもいいましょうか。
他書と比べてなかなか読みごたえのある内容でした。

                                RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2010-07-24 22:20) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0