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〈「言葉」による革命〉・・・末尾ルコお薦め書籍「フランス文学と愛」(野崎歓著)。2014年11月30日 [「言葉」による革命]

●「フランス文学と愛」(野崎歓著 講談社現代新書)という本があります。
これがなかなかおもしろい。
「愛」に焦点を置きながら、フランス文学史の流れを俯瞰する。
「愛を語る言葉として最も相応しいのは何語でしょう?」と問われたら、あなたは何語を挙げますか?
日本語?は普通挙げないですよね、いかに日本を愛していようとも。
いや、「万葉集」や「源氏物語」を考慮に入れれば、日本語だって「愛を語る言葉」に相応しく思えて来る。
それなのに近年の日本語の貧しいことよ。
だからこそ「愛」をぼくは貫くのだ。
で、やはり一般的には「愛を語る言葉」としてすぐに「フランス語」が出ますよね。
わたしがフランス語をやってるから言うのではないが、確かにフランス語の音が美しいだけでなく、その文学、あるいは映画の世界で脈々と絶えず「愛」を語り続けている、あらゆる方法を持って。
もちろん本物のフランス文学に甘っちょろい「愛」などこれっぽっちもない。
「愛の真実」を見つめ、時にレトリックを尽くした美文により、時に強烈な諧謔を持ち、時に悪魔のような冷笑さえを持って、描き尽くす、それがフランス文学です。
野崎歓は「単なるフランス文学者」ではなく、ご本人が「おもしろい文章」を書ける方であり、わたしもその訳書、著作でずっと愉しませていただいている。
ジャン=フィリップ・トゥーサン、フィリップ・ソレルス、ボリス・ヴィアンらの翻訳はとても素敵だった。
「フランス文学と愛」は、可愛らしいユーモアに満ちた文体でルイ14世の放漫な魅力を語る辺りからもうワクワクが止まらない実に素敵な本です。

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pandan

あっという間に12月、
しないと行けない事がたくさんです。
by pandan (2014-11-30 08:06) 

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