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●内藤哲也VSマイケル・エルガンにおけるマイクアピールのプチ考察。 [「言葉」による革命]

●内藤哲也VSマイケル・エルガンにおけるマイクアピールのプチ考察。

末尾ルコ「プロレスで知性と感性を鍛えるレッスン」

わたしがプロレスを観始めた頃、それは全日本プロレスだけど、「マイクアピール」なんぞをするレスラーなどまずいなくて、タイトルマッチなどの後にリング上でインタヴューは行われていたけれど、いわば「ちゃんとしたインタヴュー」だった。
新日本プロレスの方も、猪木が「元気ですか~」で始めて、いろいろギャグっぽいことを言うのは引退後で、最盛期にはマイクを取って何かを叫ぶことはあったけれど、だいたい相手レスラーに投げかける言葉が多かったように記憶している。
ところがいつの間にやら日本のマット界では試合後に選手がマイクを握ってしばらく喋る時間が普通になり、プロレスだけでなく、MMA(総合格闘技)の試合でもそんなことになってしまっている。
UFCでは試合後のインタヴューでも、ジョー・ローガンはマイクをファイターにまず渡すことはないけれど、日本では選手に丸投げしてしまうのだが、わたしはこれがあまり好きではない。
米国のプロレスの世界では、かつてはスーパースター・ビリー・グラハム、近年ではザ・ロックなど、「喋り」だけでお金を取れるレスラーがいたけれど、日本の場合はたいがいが、「レスラーと観客の慣れあい空間醸成」になっていると感じるわけだ。
そんな中、かつての北斗晶は実に喋りが上手かった。
現在ではメキシコから帰ってからの内藤哲也が上手い部類に入るけれど、例えば2016年9月の神戸大会、IWGPインターコンチネンタル選手権”マイケル・エルガンvs内藤哲也の試合後のマイク、観客がさほどノッテきてないのは喋り始めてすぐに分かったはずだ。
しかしそれが分かっても、喋り始めたら途中でやめるわけにはいかない。
この辺がつらいところである。
まあこういうことは、わたしたちが人前で喋る時にもあり得るわけで、「ウケてない・ノッテ来ない」時のどうするかの選択肢は豊富に用意しておくべきだなあ、などと(うふふ)。

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いっぷく

日本のプロレスは、テレビと興行の関係がアメリカと違っていたので、マイクアピールはなかなかプロモーションとして受け入れられなかったですね。
力道山や芳の里の頃は、地方巡業は同じカードを連日やってましたから、シリーズにストーリー性は希薄で、テレビがレスラーのアピールする番組を作ってツアーを演出していくという「ビジネスモデル」ではなかったですからね。
団体も、テレビからは金をもらって興行の一部を実況放送させてやるぐらいの発想しかなかったでしょう。
また、レスラーは団体に所属するシステムなので、自分の意志による自己アピールがしにくかったのかもしれません。
何しろ、前座は、会場を温め、メインを引き立てるための存在だから大技は使うなとかいわれていたわけですから。マイクでアピールなんてトンデモないという感じだったでしょう。
それが、レスラーの登場に音楽が使われることになり、だんだんショーアップし、鬼コーチのような人もいなくなり、前座も少しずつ自由にできるようになってきて、個々のレスラーが自己演出しやすくなってきたんでしょうね。
内藤は、昭和プロレスと無縁で、山本小鉄とか鬼コーチも足を引っ張る小姑的先輩もいないので、自由にできる素地があったんでしょうね。
北斗の話は面白かったですね。ただあの価値を高めたのは「週プロ」でしょうね。「週プロ」が活字化することで、北斗のキャラが伝わり、次は何を言うのだろうという期待感が高まって、北斗も張り切って気の利いたことを言うようになるという循環だったのではないでしょうか。
by いっぷく (2017-02-24 01:37) 

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