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●「不人気」デメトリアス・ジョンソンが驚くべき技を決めて新記録を作ったUFC216の話から、階級制問題、そしてプロレスのヘヴィー、ジュニアへヴィーへと話は発展する。 [「言葉」による革命]

●「不人気」デメトリアス・ジョンソンが驚くべき技を決めて新記録を作ったUFC216の話から、階級制問題、そしてプロレスのヘヴィー、ジュニアへヴィーへと話は発展する。

末尾ルコ「格闘技とプロレスの話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

UFC216でフライ級王者のデメトリアス・ジョンソンがレイ・ボーグを相手に驚くべき技で防衛を果たした。
その技は、相手を背後からジャーマンスープレックス気味に投げながら、その途中で腕を腰から離し、後ろ向けに倒れる過程の相手の右腕にアームバーを仕掛けるという驚異的なもので、長年格闘技を観続けているわたしも目を瞠らざるを得なかった。
これでジョンソンは、11回連続防衛であり、UFCのチャンピオンとしては連続防衛新記録である。
ジョー・ローガンが試合後のインタヴューでしきりにジョンソンを「パウンド・フォー・パウンド」と持ち上げていたが、これはデメトリアス・ジョンソンとデイナ・ホワイトないしUFC自体との軋轢を受けたものだったのだろう。
デメトリアス・ジョンソンはデイナ・ホワイトと防衛戦などの内容についてもめていただけでなく、もうずいぶん以前から、「不人気」が指摘され勝ちっ放しでいるのにそんなことを指摘され続けたらそりゃあ機嫌も悪くなるというものである。
しかし「不人気に理由なし」かと言えば、わたしの見方ではそうでもなく、それはジョンソンのファイトスタイルに因を成すと言うよりも、基本は「階級の人気」の問題ではないかと思う。
UFCの階級は重い順に、

ヘヴィー
ライトへヴィー
ミドル
ウエルター
ライト
フェザー
バンタム
フライ

となっており、つまりフライ級は一番軽い、さらに言えば、一番小さいのである。
わたしの個人的嗜好を言えば、格闘技で最も興味があるのは「一番重い階級」であり、軽くなるほど興味は薄らぐ。
そもそもボクシングも、プロではないが柔道なども、階級が多過ぎなのである。

しかしこの問題は、「競技の発展・競技人口の獲得」や「興業価値」などに絡んでいるのでここでは一旦置いておこう。

プロレスはこれら競技格闘技のようには今のところ階級を細分化していないし、どう見ても計量などを厳格にやっているとは思えないが、取り敢えず以前からヘヴィーとジュニアへヴィーは存在している。
しかし佐山タイガーマスクの時代にジュニア人気が爆発した時くらいまでだろうか、ジュニアへヴィーに「戦い雰囲気」が漂っていたのは。
佐山タイガーはそのアクロバティックな天才的試合運びで子どもから大人までの大ブームを呼んだのだけれど、試合中髄所で「鋭い格闘技的要素」を垣間見せていた。
しかし山田獣神サンダーライガーへ至っては、山田はいいレスラーなのだけれど、そもそもあのコスチュームでは「100%の動き」は不可能で、おのずと「楽しさ追求」の方向へ進まざるを得ない。
さらに現在は、ヘヴィーの試合もジュニアの試合も大きな違いはない状況になっている。
かつてヘヴィーのでかいレスラーがコーナーポストからバック転などをやるようになった時に、(ちょっと違うんじゃないのか・・・)と感じた懸念が現状に発展してきた感はある。

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いっぷく

プロレスのヘビーとジュニアヘビーというのも、おっしゃるように興行的なこともありますし、まああとは価値観ですね。
ダニー・ホッジが、NWA世界ジュニアを持ったまま、ルー・テーズからTWWA世界ヘビーを取りました。
ですからダニー・ホッジは本来ヘビー級のチャンピオンでいいはずですが、ディック・ハットンと同じく強すぎてNWA世界ヘビーにはさせられず、しかしプロレス界のポリスマンとしての箔付けで無冠で置いておくわけにも行かなかったので、 レロイマクガークに一任されていたNWA世界ジュニアを巻かせていたということがあります。要するに体重は実は関係なし。
そのホッジとNWA世界ジュニアを取り合っていたヒロ・マツダは、もっと評価されてもいいと思うんですけどね。
ダニー・ホッジとヒロ・マツダの引き分けと、松岡巌鉄のリンゴ握りつぶし合戦の後の余興のような試合の引き分けとでは全然価値は違うと思うのですが、戦績としては引き分けは引き分けなんで、そのへんが悩ましいですね。プロレスの難しいところです。

日本では、ジュニアヘビーというと、ともすれば「体操選手のような飛んだり跳ねたり」(マイティ井上談)という、まあルチャを意識してしまう向きもありますが、チャボ・ゲレロとかレス・ソントンとかネルソン・ロイヤルなど、それとは少し違うんじゃないかと私は思うのです。まあさすがに、鶴田がケンマンテルのNWA世界ジュニアに挑戦したのは違和感がありましたが。
これをいうと日本のファンは、100人が100人とも賛成しないと思うのですが、私のジュニアヘビー級観としては、アントニオ猪木対ヒロ・マツダこそが、最高のジュニアヘビー級の試合になるのではないかと思っています。ヘビー級は馬場とアーニー・ラッドにでも任せておいて(笑)だって日本人のほとんどが、ジュニアヘビー級ですよね。体格的に。
たとえば、ドロップキック。全盛時の馬場がきちっと決まれば猪木はかなわないでしょう。ただ、試合のある局面で咄嗟にポーンと蹴る瞬発力が猪木にはありますから、そういう違いですね。
ダニー・ホッジのようにジュニアヘビー級のチャンピオンとしてヘビー級のベルトを巻くことだってあるのですから、私は猪木なら、2階級制覇も可能でかつジュニアヘビー級に確固とした世界を作れたのではないかと思うのです。
でも、ヘビー>ジュニアヘビーという思いが強かったか、日本プロレスでは生ピアノの芳の里を最後に、タイトル自体が封印されてしまいました。
国際プロレスで、ベテランの田中忠治にIWAミッドヘビー級というのを巻かせていましたが、ロクに防衛戦も行わず、タイトルも保持者も光りませんでした。
藤波がWWWFのジュニアヘビー級チャンピオンになった時は、ああ、いいところ狙ったなと思いましたね。
by いっぷく (2017-10-25 02:18) 

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