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●『O嬢の物語』を買ったことで「澁澤龍彦に似てる」と言われたことを思い出した末尾ルコがさらに『飢餓海峡』の伴淳三郎や左幸子について語るってのは? [「言葉」による革命]

●『O嬢の物語』を買ったことで「澁澤龍彦に似てる」と言われたことを思い出した末尾ルコがさらに『飢餓海峡』の伴淳三郎や左幸子について語るってのは?

末尾ルコ「映画と文学の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

澁澤龍彦訳の『O嬢の物語』を古本屋で見つけて買ってホクホクしている年末のわたしではある。
『O嬢の物語』の作者はポーリーヌ・レアージュ。
澁澤龍彦訳と言えば、マルキ・ド・サドやジョルジュ・バタイユの翻訳は読んでいるけれど、『O嬢の物語』は未読だったのである。
そう言えばわたし、澁澤ファンから「澁澤に似てる」と言われたことがあって、当然満更でもなく当時は思ったし、今も突如思い出して満更でもないので澁澤龍彦の画像をあらためてチェックしてみたら、確かに写真によっては共通点がある・・・と自分で言う。
顔の造作がけっこう似てます。
それと(ほぼ)いつも黒のサングラスしているところ。
違うところは、わたし中学くらいからのプロレス特訓で、いわゆる細マッチョ体形がベースであるということと、髪は背中まで伸ばしていたこともあるのだけれど、今はずっと短髪にしてあるところですな。

その時買ったのは『O嬢の物語』だけではなくて、水上勉の『飢餓海峡』だった。
と言うのもこの小説を未読だったこともあるけれど、最近内田吐夢監督の『飢餓海峡』を観たわけです。
映画『飢餓海峡』、3時間もアッという間の観応えであり、内田吐夢のインパクト抜群の映像美と、三國連太郎、高倉健、そして伴淳三郎、さらに左幸子の存在感、演技に酔い痴れた。
三國連太郎と高倉健が凄いことは十分分かっていたのだけれど、伴淳三郎はわたしにとって、「名前はずっと知っていたけれど、ほとんど見た記憶のない俳優」の一人で、最近『駅前シリーズ』で珍芸とも言うべき演技・芸を披露する姿を観て強烈な印象を与えられたばかり。
存在そのものがいい意味で毒々しいまでに濃厚なのですな。
ところが『飢餓海峡』の伴淳三郎、ご存知の方からすれば、(今頃何をそんなことを)というところだろうが、殺人容疑者(三國)を執念深く追い続ける刑事を風格と品格たっぷりに演じている。
ここで出ました、「風格」と「品格」。
いや、本当に素晴らしいのです。
『飢餓海峡』の伴淳三郎であれば、米国の傑作ハードボイルド作品の中にいても、何の違和感もない。
そんな俳優が喜劇映画ではお下品路線の珍芸を披露するのだから、凄い。
そして左幸子。
これまた素晴らしい。
左幸子は、『にっぽん昆虫記』と『彼女と彼』でベルリン国際映画祭女優賞を獲得しているのですな。
同賞の日本人受賞者は左幸子が初めてで、その後、田中絹代、寺島しのぶ、黒木華と続くわけだ。
しかしあらためてベルリン国際映画祭女優賞の受賞者を見ると凄い女優がズラリであり、この中に名前が載るだけでもとてつもない栄誉であることがよく分かる。


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いっぷく

飢餓海峡ですか、順番としてテレビを先に見ていたので、藤真利子のイメージがあります。多岐川裕美が裸が嫌だと言って降りたのですが、不可解でした。私は子供の頃、女優に処女性を求めていて、ヌードやラブシーンをするとがっかりしてしまうのですが、多岐川裕美についてはデビュー作で脱いでいるので、今更なにをもったいぶってるのだろうとむしろフンガイしたものです。
藤真利子は、NHK連続テレビ小説の裏番組のポーラテレビ小説のヒロインに抜擢されてデビューしましたが、「文子とはつ」というタイトルのダブルヒロインといわれ、でもこの世界にほんとうの意味での五分五分ヒロインというのはなくて、俳優座という大劇団に所属していた香野百合子があくまでもトップで、作家の娘という話題性で抜擢された藤真利子は2番手(引き立て役)だったのです。でも飢餓海峡に出たことで、女優として大きくステップアップしました。夏目雅子が昼の帯ドラマの「愛が見えますか」がパッとしなかったのに、クッキーフェイスで今度こそチャンスを逃さずブレイクしたのを思い出します。
映画は、左幸子に尽きます。新東宝時代は、こんな仕事をしていて女優としての将来などどう考えていたのだろうと思えるようなエロの路線をやらされていましたが、会社が潰れても、日活や大映を実力で渡り歩いたすごい人なのです。まあ、そういう意味では、池内淳子も大空真弓も、テレビで一時代を築いたのですごいのかもしれませんが。三ツ矢歌子は会社が潰れたらすぐ結婚してしまいましたからね。

>ドリー・ファンク・ジュニア

初来日は、ダブルアームスープレックスと、スピニングトーホールドを引っさげてやってきましたが、人間風車はすでにビル・ロビンソンがフィニッシュ技として披露していましたし、スピニングトーホールドはあまり痛そうではなかったし(笑)、父親のシニアがちょっかいを出していたので、あまり強くないやつではないかなんて思っていました。日本プロレスがNWAに加盟してすぐに現役チャンピオンとして来たわけですが、それまで日本プロレスはWWAに加盟していて、力道山のインチキによって、WWA>NWAというスタンスで東スポなども報じていましたから、ドリーの初来日は、正直あまりピンときませんでした。
戦績も、各地で引き分けが多くて、ロスではマスカラスと引き分け、日本でも猪木と引き分けて、馬場も引き分け。完勝シーンを見たことなかったのも、あまり強いイメージではなかった理由の一つです。
NWAチャンピオンというのはそういうものだということに気づくのはもう少したってからでしたから。
ホフマンは、ロビンソンのライバルですね。ただ上田馬之助と同じで、華がなかったんでしょうね。
by いっぷく (2018-12-25 05:19) 

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