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●「無知な言語空間の恐怖」~フロイド・メイウェザーに遊ばれ、秒殺された那須川天心は「神童」「日本の至宝」と、なぜ信じられていたのか? [「言葉」による革命]

●「無知な言語空間の恐怖」~フロイド・メイウェザーに遊ばれ、秒殺された那須川天心は「神童」「日本の至宝」と、なぜ信じられていたのか?

末尾ルコ「格闘技と言語空間問題の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

大晦日はももいろクローバーZも『ゆく桃くる桃』『ももいろ歌合戦』に集中していたわけだが、夜11時くらいにちょっとフジテレビにチャンネルを合わせるとちょうどRIZINのメイウェザーVS那須川天心が始めるところだったので、RIZINの高田延彦を中心と知る放送体制は「気色悪い」の一語だからそこまで一切回さなかったけれど、わたしは一貫してメイウェザーVS天心という企画自体を批判してきたので、(試合を観なければ、試合を批判できない)という年越し寸前の殊勝な気持ちから観戦してみた。
そしてご存知の通り、メイウェザーが那須川天心を1R、TKOで下したのだが、メイウェザーが3R遊んで終わらせると思っていたわたしにとっては意外と言えば、意外な結末だった。
そして実際の試合内容たるや、

ダンプカーと自転車のぶつかり合い
熊とモルモットの正面衝突
大国の大統領と鄙びた村の村長の首脳会談

などなど、いくらでもおもしろい形容が見つかりそうなまでの「実力差」という言葉だけで済ませられない「別次元の人間」といった感じだった。
こんな風に書くと、「真剣に戦った選手に失礼」という非難も出そうだけれど、こんな試合を実現させた方が、ボクシングや格闘技に対してずっと失礼なのである。

この「試合」について語るべきことはあまりに多いが、ここはまず、

「一部日本人の無知・大勘違い」
「そうした人たちを騙そうと試みるメディアや企業」

の問題について触れておこう。

RIZINが「メイウェザーVS天心」のマッチメイクを初めて発表した時点での、一部日本人のあまりに無知な興奮ぶりにわたしはとても憂鬱な気分になった。
その象徴的発言が、有名人武井壮の

「勝ったら世界中どこ行って試合しても100億の男だな。」というもの。

わたし、こういう何の根拠もない勢いだけのおつむ体育会系発言を目にすると頭痛を催すのである。
まず、
「100%勝たない」し、
「(100%あり得ないが)勝っても、100憶円の男」などになりはしません。
その理由については、格闘技に多少なりとも知識と理解を持っている人なら誰でも分かると思うけれど、武井壮のように多くのフォロワーを持つ著名人がこうした出鱈目を平気で「発言」することの危険性ですよね。
そう、「メイウェザーVS那須川天心」に関する日本の言語空間は、この「試合」だけの問題ではなく、多くの「話題」の中でしょっちゅう見られるわけなのですね。

では、ネット民たちはどのような書き込みをしていたか?
もちろん今回の結果が「見えていた」人たちもかなりいたけれど、例えば、

「ボクシングルールでも、若い天心は勝てる」
「キックを許可しないメイウェザーはチキンだ」
「ショーとかエキシビションをメイウェザーが強調しているのは、負けた時の予防線を張っているんだ」
「そんなに天心が怖いのか?」
「キックに違約金をかけたメイウェザーは明らかにビビっている」
「違約金5億円払っていいから、蹴って再起不能にしてやれ!」

などなど。
本当に、頭痛くなってくる。
そしてあれだけの試合結果を見せられても、まだうだうだ言って、那須川天心に同情的な人も少なからず存在するのである。

この問題、今後も続けますが、今回は取り急ぎここまでに。

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いっぷく

今Youtubeで見ました。年末の夜はブログを書いていてテレビ見ていませんでした。
ガードをぶち抜かれて一発入ったら、もう目はうつろになってましたね。2度目のダウンのときは足元が怪しくなっていて、顔のアップみたら、「ああ、こんな試合するんじゃなかった」と描いてあるように見えました。
勝負というのはこういうものですね。「無知な興奮」というのは、「騙そうと試みるメディアや企業」の責任もあると思うのですが、それはどういう目論見だったのでしょうか。つまり、いくら煽ってもこうやって試合をしたらすぐに結果は出てしまいますよね。

マスコミのアオリと言えば、年末に、Facebookのプロレスのグループで、また「馬場対猪木」が話題になったのですが、馬場の対猪木16戦無敗について、「若手の頃だから参考にならない」という意見は今もあることはあるのですが、若手の頃だからこそ力道山はガチンコをやらせていたわけです。しかも、情けない試合をすると暴力で反省させていたといいます。そういう状況ですと、さすがに16戦全敗では、参考になると思うのですが。
馬場も猪木も現役ではなくなった最近になって、妙に馬場を評価する意見がふえているのですが(馬場対レイスを様式美と評価するのもそのひとつです)2人が現役の頃は、馬場は逃げている、日本プロレスのBI時代からもう猪木は馬場に勝てた、なんていわれていました。
プロレスですから、そもそもどっちが強い論に熱中してしまうのは少し道が外れているのかもしれませんが、今は猪木派の人は沈黙したのか転向したのかわかりませんが、こういう意見が多くなってきました。
http://www.dougu.co.jp/gianttyphoon.htm
この記事のとくに興味深いところは、「雄弁かつ金品の贈与に惜しみなかった猪木を優位に記事を書いていたと言う。猪木=雑草・馬場=エリートはまさにその最たるもの」という点ですね。猪木自身は、僻みや嫉妬をバネにするようなので、本人はそう思っていたのかもしれませんが、客観的にはマスコミのそういう描き方自体「偽」であるという指摘は面白いと思いました。
猪木は先輩もなかなか出られない第4回ワールドリーグに出してもらっているわけですが、馬場でさえ第5回が初出場だったのです。ヒライ、林、マティ鈴木、田中忠治、同期だと上田馬之助、松岡巌鉄。このあたりからは「猪木がどうして優遇されるんだ」と思われていたのではないかとおもいます。
那須川天心売出しで、ふとそのことを重ねてしまいました。

by いっぷく (2019-01-02 06:07) 

ニッキー

明けましておめでとうございます( ^ω^ )
楽しくて笑顔溢れる素敵な一年になりますように*\(^o^)/*
本年もよろしくお願いいたします=(^.^)=
by ニッキー (2019-01-02 10:53) 

TBM

あれほどの体重差+経験差のエキシは
もう見たくないですね。
ただ、今後もベラトールとの交流が継続されるとの
ことなので、マッチメイクは適正化されるのかも。
by TBM (2019-01-02 19:31) 

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