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極限の愛、日常の愛、その言葉 2019年6月28日 [愛の景色]

物足りないのだ
空白ができるのだ
あなたがいないと
空白が

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●我が母、心臓バイパス手術後闘病記94日目~病室でトランジスタラジオ~フロントガラスのカミキリムシ。 [「言葉」による革命]

●我が母、心臓バイパス手術後闘病記94日目~病室でトランジスタラジオ~フロントガラスのカミキリムシ。

末尾ルコ「母の話、病室での出来事、昆虫の美」

6月21日(金)手術後94日目
転院59日目

病室には小さなトランジスタラジオを持ち込んでいて、別に忌野清志郎を気取ろうというわけではなく、テレビつけっ放しだとお金がどんどんかかるし、つけていても今の母はそんなに興味を示さないし、わたしにとっても不快なストレスになるのである。
しかし何らかの音が欲しい時間もあって、確かに網戸にしていたら鶯の鳴き声などは聞こえるけれど、それだけで満足するほどわたしは風流が練れていない。
そう言えばこの前、「かなり高い空間を、多くの蜻蛉が飛んでいた」お話をしたが、6月19日の午後だったか、車を運転していたらフロントガラスに小さな虫が留まっている。
黒を基調にしているが、蛍光緑の紋様が綺麗で、どうやらカミキリムシの一種だ。
カミキリムシはわたしの最も好きな昆虫で、幼い頃に「虫博士」などと呼ばれていたお話も何度かしたが、けれど大人になってから虫を触るのは苦手になっている。
とは言えカミキリムシを見るのは嬉しく、どうして好きかと言うとその姿形の美しさであるとしか言い様がなく、まったく無駄のないラインにひしひしと造形の美を感じる。
自宅に着き車から降りて、その虫をしばらく眺め、家の中へ入った。
次に車に乗った時は、もうその虫はいなくなっていた。
で、話は元へ戻るが、病室ではテレビをつける時間は少なく、トランジスタラジオを流していることの方がずっと多い。
テレビだとあの長方形の画面の中で雑多な情報が行きかう印象だが、ラジオはラジオというオブジェを離れて空気中に音が溶け込む感じがいいですな。
ラジオをつけているだけで、番組を問わず独特な雰囲気が醸し出てくる。
いい意味でのノスタルジックな雰囲気も。
今はネット環境さえあれば自分の好きな音楽をいくらでも聴けるけれど、そういうのとはまた違う体験なのですね、ラジオから曲が流れてくるのは。
リスナーからのリクエストを受け付ける番組でよくこんなメッセージが読まれるわけです。

「自分の好きな曲はいつでも自分で聴けるけれど、ラジオから流れてくるのは特別なんです」

そうなんです。
リクエストした曲がかかるのも特別だろうし、何となく流しているラジオから流れてくる曲に(ハッ!)とさせられることも多い。
それは知っている曲の場合もあるし、知らない曲の場合もある。
わたしにもそうした印象的な経験はよくあるが、例えばある時カーラジオからふとオッフェンバックの「ホフマンの舟唄」が流れてきて、いたく心に沁みた。
そういう時は音質なんかは関係なくなる。
AMラジオの微妙なノイズの向こう側から聴こえてくる女性声楽家の「ホフマンの舟唄」。


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