●末尾ルコ かつて語った「ミリオンダラーベイビー」クリント・イーストウッド監督

「ミリオンダラーベイビー」クリント・イーストウッド監督

　悲痛で、しかも快感を伴うストーリーだが、意外と後へ残らない。ヒラリー・スワンクの見事な役作りには敬意を表しながらも、「許されざる者」や「チェンジリング」ほどの興奮はなかった。

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●「母連れ狼」末尾ル コ（アルベール）、うたちゃん（母）の日々～ああ、２月に入ったばかりのあの夜、初恋のヒヨコは階段からこけた。

わたしはアートでロックでハードボイルドでポップでジェントルな末尾ルコと名乗り、しかし地元ではふつうアルベールなのですが、「初恋のヒヨコ」でもあります。原則いつも母（うたちゃん）と行動を共にし、車いすを押しておるそのイメージから「母連れ狼」とも名乗ります。
そう、最高の介護を超えるべく。

…

それは二月に入ったばかりのある夜のこと。
臀部のおできに苦しめられた日々もようやく過去のものとなりかけていたそんな時期。
わたしはまたぞろとんでもない失敗をしでかしてしまった。
場所は家の中の階段。
確かにこの初恋のヒヨコ、考えなけりゃならないことが多過ぎるんです。
しかしそんなことも言い訳に過ぎない。
だからと言って、階段踏み外す必要もない。

そうわたし、家の中の階段、踏み外しちゃったんです。
ズルッとばかりに。
（アッ）と思った瞬間はもう遅く、階段の下から２～３段程度ではあるけれど、左腕は階段の角っこに当たり、しかしそれよりも左足を（グキッ！）とやってしまったその時既にかなり痛かったぞ。
（何をやってるんだ、俺は…）とその瞬間も思ったし、痛みはすぐには治まらないし、２日目にはかなり腫れてきた。
（何をやってるんだ、俺は…）臀部のおできも潰れ、ようやくまともに座れるようになってきた頃合いに階段からこけるか。
しかし「起こってしまったこと」を「起こらなかったこと」にはもうできない。
右足を引き摺りながら、（あの時こけなければ…）という気持ちはどうしても出てくるけれど、起こってしまったらくよくよしても意味がない。
せめて厳重に反省し、今後の糧にすべく試みるしかない。

…

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