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小説 神秘アンチエイジング&エロス 220 涙と汗 [小説 神秘アンチエイジング&エロス]

「いや、どうももともとあなたにはそんなところがある気がする」
「そんなことありませんって」
「いやいや、どうもわたしらの商売をバカにしてる気がする」
「ありませんって」
店主の顔はすでにできあがっていた。
憑かれた表情。
丸い目は充血し涙が貯まり、視線は瑛次を通り越して何か見えないものに焦点が合っている。
脂肪が豊かに回った顔はいつも以上に赤黒く上気し、まんべんなく汗が浮かんでいる。

※この作品の中には現実のアンチエイジング方法や健康法などが出てきますが、その作品中で言及される効果などに関してはあくまで小説上のできごと、つまりフィクションであるとお考えください。
実際の効果には、個人差などがあるものだと思われます。

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よきファンとは? ブラッド・ピットはセクシーか? [生と死のためのアート]

「ファン」についてである。

ブラッド・ピットが「セクシー」といつまでも呼ばれることについて嘆き、半ば怒っているという記事を読んだことがある。
ブラピの意見はだいたい次のように要約できる。
「デ・ニーロなどの偉大な俳優はセクシーなどと言われないだろう。なににおれはいつまでもセクシーなどと言われる」
デ・ニーロとブラピを比較するのは無理な話だが(デ・ニーロと比較できる俳優などいない)、それにしてもその怒りはよく分かる。
成功しているかどうかはさて置き、ブラピが様々な役に挑戦してきたことは確かだ。
優秀な俳優やミュージシャンをも思考停止的言語で表現するメディアの無礼には異を唱え続けねばならないが、ファンであるならばまず、自分が応援している人をできるだけ正確に把握する必要がある。
盲目的なファンであっても「ファンはファン」なのだろうが、やはりそれでは貧しい。
応援している対象をできるだけ正確に把握すること、把握しようとすること。
それが「よきファン」への第一歩ではないか。
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宮本武蔵対吉岡清十郎 井上雄彦によって生み出された美 「バガボンド」 [ルコ的読書]

年明けの深夜、京都洛北蓮台寺野にて対峙する宮本武蔵と吉岡清十郎。
まずは武蔵の方が動揺する。
武蔵の脳裏に、清十郎によって無残に斬られるイメージが浮かぶ。
清十郎には十分自信があるが、目を狙った一の太刀が額をかすめただけに終わり、さらに武蔵の攻撃がかつてない重さを持っていることに気づくに至って、初めて自分が武蔵に斬られるイメージが脳裏をかすめる。
しかし決して動揺することなく、「最悪の場合・・・・」「そういうこともあるのかもな・・」と呟きながら軽く笑みを浮かべる。
実はわたしはこのシーンが最も好きなのだ。
清十郎は初めて「負ける」、つまり「死ぬ」かもかもしれないというイメージを持つ。
けれど少しも動揺することなく、自分の力を信じ、あくま「待つ」のではなく、武蔵に対して常に「一の太刀」を放ち続ける。
その姿が「バガボンド」の中でもひときわ
妖しく美しく光芒を放っている。
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松雪泰子が美しい「Mother」。吉高由里子、flumpoolの尼川元気と「お泊まり」? [吉高由里子]

いやいやいや、松雪泰子の「Mother」。
日本テレビも何を思ったのか、メインの時間帯としては不自然なまでの凝った画作り。
「何か新しいもの」、あるいは「クオリティの高いもの」を作ろうとしているのは十分に伝わってくる。
しかも憂い顔(あるいは「困り顔」?)の松雪泰子を綺麗に撮る撮る。
松雪泰子の顔だけでも観る価値はあるというものだ。
その正統的な美しさを持つ顔を見ながら、「ルネサンスの絵画に出てくる女性的だなあ」などと大ざっぱな(笑)感想を持ったりもしたものだ。
ただ、おもしろいとまではまだはっきりと言えない。
今後の展開次第だろう。
尾野真千子(子どもの母役)がいつになくハードな魅力を発揮しているのにも注目してほしい。

あ、「素直になれなくて」についてはゴ・ジ・ツ♡

ネットでゴシップ欄記事を見ていたら、吉高由里子がflumpoolのベーシスト尼川元気と「お泊りデート」としたという内容の記事があった。
わたしは「女優業の邪魔」になる相手でなければ、応援している女優が誰と付き合おうが基本的に興味はない。
だからこの件に関しても特に感想はない。(笑)
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「美しき虜」フェルナンド・トルエバ監督 [末尾ルコ(アルベール)の成長する小さな映画批評]

「美しき虜」フェルナンド・トルエバ監督

ナチス政権下のドイツへ映画撮影に行くスペインの映画人。このシチュエーションがまずおもしろいが、女好きゲッべルスに迫られるペネロペ・クルスの話を中心に、各シーン、エピソードがそれぞれ質高く楽しめる。映画へのオマージュも数多く豊かだ。

7点
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迎えられるのも悪くない、と思った朝。 [生と死のためのアート]

いつも何かに迎えられたいなどとはぜんぜん思わない。
絶対に誰とも会いたくない日もよくある。
それでも何かに迎えられると「助けられた」と心から感じることも少なくないものだ。

そう、迎えてくれるのは人間だけではない。
水の音であったり、空の色調であったり、鳥の鳴き声であったり・・。

ある4月の朝。
小雨の中を傘をさして歩いていた。
ふと気が付くと目の前に桜の花びらの道が開いていた。
雨の日のモノトーンの中、それはあまり鮮やかな花びらの色だった。
(迎えてくれたんだ)
ぼくはそう微笑んだ。

タグ: 美学 アート
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